今月の主題 腎疾患診療のトピックス
薬物療法
慢性腎不全に対する保存療法
小出 桂三
1
,
遠山 純子
2
,
井上 昇
2
,
越川 昭三
3
,
秋沢 忠男
3
,
高橋 健
3
,
山根 至二
4
,
日高 三郎
5
,
田所 昌夫
5
Keizo Koide
1
,
Junko Tohyama
2
,
Noboru Inoue
2
,
Shozo Koshikawa
3
,
Tadao Akizawa
3
,
Takeshi Takahashi
3
,
Yoshiji Yamane
4
,
Saburo Hidaka
5
,
Masao Tadokoro
5
1国立王子病院・循環器科
2国立王子病院・内科
3昭和大学医学部藤が丘病院・内科
4東京厚生年金病院・内科
5河北総合病院・内科
pp.1594-1597
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217918
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血液透析を中心とする血液浄化法の進歩はめざましく,慢性腎不全患者に大きな福音をもたらした.しかし,わが国の慢性透析患者数は,昭和56年末ですでに40,000名を越し,なお毎年4,000〜5,000名の増加がつづいている.このため,透析医療費の増加は社会的問題となっており,慢性腎不全の進行を抑え,透析患者の増加をおさえる治療法の開発は社会的要請とさえなっている.また,慢性腎不全患者の心理として,できることなら透析療法の開始を遅らせたり,あるいはさけたいという強い願望がある.したがって慢性腎不全の保存的療法としての薬物療法の目的は,腎不全の進行を抑制し,慢性腎不全患者が透析に入るのを遅らせることにあると考えられる.従来の慢性腎不全の薬物療法は,主として腎不全の異常病態を是正するためのものであったが,最近,尿毒症の有害物質を除去し,腎不全の進行を抑えることを目的に,経口吸着用炭素製剤が開発された.
本稿では,まず慢性腎不全に対する保存的療法としての薬物療法について記述し,ついで,現在筆者らが研究中の経口吸着用炭素製剤(AST 120)の昭和57年4月末現在における臨床治験成績の概要を報告したい.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.