臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
X.腎疾患
腎前性急性腎不全 VS 急性尿細管壊死
秋沢 忠男
1
,
越川 昭三
1
Tadao AKIZAWA
1
,
Shozo KOSHIKAWA
1
1昭和大学藤が丘病院・内科
pp.2068-2069
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216879
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なぜ鑑別が問題となるか
急性腎不全の定義は,本来尿中に排泄されるべき窒素代謝物を中心とした,生体に不必要な物質の急激な排泄障害と血中への貯留である.この概念には腎循環障害に基づく腎前性急性腎不全,腎毒性物質などによる急性尿細管壊死のほか,尿路閉塞による腎後性急性腎不全,急性糸球体腎炎,急性間質性腎炎,両側皮質壊死,腎動脈閉塞などが含まれる.
一般に急性腎不全は腎前性腎不全と急性尿細管壊死の頻度が高く,前者は適切な治療で早期に腎循環の改善をはかれば可逆的で,腎機能不全は進行せずに回復させることができる.しかし処置を誤ると急性尿細管壊死に進行し,腎機能の回復には長期間を要する.
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