講座 異常値の出るメカニズム・51 酵素検査・11
血清α-ヒドロキシ酪酸脱水素酸素(HBD)
玄番 昭夫
1
Teruo Gemba
1
1中央鉄道病院・中央臨床検査室
pp.1293-1299
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217855
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HBDの本体
α-ヒドロキシ酪酸脱水素酸素(α-hydroxybutyrate dehydrogenase,HBD)とは,という反応を触媒する酵素として知られているが,しかしこのような酵素は実在しないと考えられている.これに対して乳酸脱水素酵索(LDH,EC 1.1.1.27)は,という反応を触媒するが,しかしLDHは乳酸以外に,一般にα-ヒドロキシモノカルボン酸(L-2-ヒドロキシモノカルボン酸)を酸化する酵素としても知られている.したがって左記(1)式はおそらくLDHによってその酸化還元反応が行われているものと思われる.つまりHBDはLDHそのものと考えられるが,しかし臨床的に血清LDHと同HBDを区別して灘定しているのは,疾患によって両酵素の変動がきわめてユニークなものがあるためである(図4).このようにHBDとはまったく臨床的な名称であるが,それではこのようなユニークな変動パターンを示しうるその背景は一体どのようなものであろうか.
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