今月の主題 カルシウム代謝の基礎と臨床
カルシウム代謝調節ホルモン
カルチトニン
森本 茂人
1
,
大西 利夫
1
,
熊原 雄一
1
Shigeto Morimoto
1
1大阪大学医学部・第4内科
pp.1196-1197
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217831
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カルチトニン(calcitonin:CT)は,1962年Coppらにより血中Ca低下ホルモンとして発見され,1963年Hirshらにより甲状腺から分泌されることが見出された.発見当初はPTH,Vit. Dとともに血中Ca調節に必須のホルモンと考えられたが,CT産生腫瘍の甲状腺髄様癌例でCT分泌過剰によると思われる症状や,甲状腺全摘後のCT分泌不足によると思われる症状が認められないことから,CTの生理的役割は成人にとっては非常に重要とは思われず,Ca代謝についてもPTH,Vit. Dの補助的な役割を担っていると考えられる.CTはCa代謝に関与する以外に,最近,消化管,胸腺,肺,脳などにおいても見出され,これらの部位での働きの解明が待たれている.
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