今月の主題 血清リポ蛋白の異常
リポ蛋白をめぐるトピックス
老化とコレステロール
武内 望
1
Nozomu Takeuchi
1
1愛媛大学医学部・中央検査部
pp.854-855
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217756
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加齢と血清Ch
加齢による血清コレステロール(Ch)の増加については,細部にわたっては報告者により多少の差があるが,一般に幼児期より思春期にかけてはやや低下し,20歳代から30歳代にわたって急激に増加する.それ以後は60歳前後まで上昇を続け,70歳以後はかえって減少をきたす(図1)1).Keysらの統計によれば,10歳代と20歳代では平均15%の差があるが,20歳と30歳代では7%,以後10歳おきに数%程度の増加がみられる.
血清リポ蛋白も,幼児期より思春期にかけては,血清Chの変動と同じく,HDL(高比重リポ蛋白),LDL(低比重リポ蛋白)ともに低下し,その後はLDLやVLDL(超低比重リポ蛋白)が増量し,LDL ChやVLDL Chも上昇するが,HDL Chには有意の変化はみられない(図1)1).したがって,加齢とともに動脈硬化指数(Atherogenic index=HDL Ch/LDL+VLDL Ch)は促進的に傾くことになる.
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