今月の主題 狭心症とその周辺
虚血性心臓病の診断
心電図—虚血性心疾患にみられる脚ブロック
岡田 了三
1
Ryozo Okada
1
1順天堂大学医学部・循環器内科
pp.619-622
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217706
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虚血性心疾患の心電図診断には,通常異常Q,ST低下,T陰転などが役立ち,脚ブロックが合併すると,むしろ心筋虚血域の診断が不正確になる傾向がある.しかし脚ブロックの出現は,重篤な不整脈の前駆疾状となることや,虚血域の拡がりが異常に大であることを示すこともあるので,その臨床的意義はかなり重要である.
図1は84歳,男で,従来高血圧があり3年前には心電図はA左端のように左心室肥大所見を示した.以後ときどき狭心症発作をくり返した.2.5年前に心電図はA中央のように前壁中隔梗塞所見となり,1ヵ月前にはA右端のように左脚ブロックとなった.QRSは幅の増人に比して波高は低い.その後次第に衰弱して死亡した.
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