今月の主題 肺機能検査から疾患肺へ
トピックス
局所肺機能検査
木村 敬二郎
1
,
長谷川 鎮雄
2
Keijiro KIMURA
1
,
Shizuo HASEGAWA
2
1筑波大学臨床医学系・呼吸器内科
2筑波大学臨床医学系・内科
pp.2104-2105
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217549
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局所肺機能の臨床的意義
総合肺機能による成績は,肺全体としての,いわゆる平均化した機能を表わしているために,障害範囲が限局していたり,代償が十分である場合には,病変部の機能障害を正確に把握することが困難である.このような局在する病変や機能障害の分布を検出する手段として,局所肺機能検査法の開発がすすめられてきた.かつては肺癌の手術適応や予後の判定に関するデータを求めるために,カーレンス氏管を用いた左右別肺機能測定がなされ,左右別酸素消費量より左右肺血流の比率を推定する方法が用いられた.しかし,今日ではより侵襲の少ない方法としてラジオアイソトープが用いられるようになり,シンチカメラの改良や電算機とのシステム化により,さらに細分化された領域の局所肺機能検査が行われるようになった.対象とする疾患範囲も拡大され,肺塞栓の診断,肺癌の手術適応や残存肺機能の予測,あるいは閉塞性肺疾患の早期診断および進展度の判定,肺高血圧,右心機能の評価など広い分野での応用,研究がなされている.
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