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“異形成 dysplasia”と“異型性 atypia”
よく,“dysplasia”と“atypia”との違いが問題とされる場合があります.それらはほとんど同じ意味として,同義語として用いられているので,厳密に使い分けをせずとも考えの伝達あるいは理解するということについて不都合さはありません.しかし,そうは言っても,何か釈然としません.そこで,それらに与えられている概念の源流を辿ってみますと,いずれもギリシア語です.“dysplasia”のdys-は英語でabnormal,difficult,-plasiaはto formを意味するplassein(現在はplasso)からであります.ですから,“dys-plasia”は異常な形成であり,日本語では“異形成あるいは形成異常”と呼ばれています.このように,“異形成dysplasia”は発育が異常であるという“こと”を対象としている言葉です.一方,“atypia”はと言いますと,“a-typia”のa-は英語でnot,-typiaはtypeを意味するtiposからのもので,日本語では“非定型”です.その意味することからは,何についても用いることのできる言葉です.ですから,“非定型atypia”はそれだけでは何がそうなのか不明ですから,その対象となる事物つまり非定型な“こと”あるいは“もの”が必要となります.非定型である対象が発育という“こと”ですと,それは“非定型的な発育atypical development”となり,“異形成dysplasia”と同じことになります.それが非定型な“もの”ですと,ここで問題としていることは癌に似た病変についてですから,それは“非定型的上皮あるいは異型上皮atypicalepithelium”となります(Dr. ラザラトス・スピリドン,Gastroenterology Department Athens University Medical School,との問答より).
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