臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.血液疾患
再生不良性貧血 VS 他の汎血球減少症
山田 英雄
1
Hideo YAMADA
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.2040-2041
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216867
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なぜ鑑別が問題となるか
汎血球減少症(pancytopenia)を呈する疾患は少なくなく,血液疾患のみならず,さまざまの非血液疾患があり,その発現メカニズムは多種多様である.再生不良性貧血は汎血球減少症をきたす代表的血液疾患の1つであり,その基本病態は血球産生障害であるが,その病因や発症機構は複雑で一疾候群とも呼ぶべき疾患であり,その厳密な定義は簡単ではない.したがって,再生不良性貧血の診断は現段階では一定の診断基準に基づく除外診断が中心であり,その問題点としては,①汎血球減少を呈するすべての疾患との鑑別を常に念頭におくこと,および②近似の血液所見を示す周辺疾患(主として血液病)とは慎重に厳密な鑑別を行うことの2点があげられる.再生不良性貧血の頻度はきわめて低く,汎血球減少の多くは基礎疾患に随伴するもので,臨床的にはこの背景にある基礎疾患の追求鑑別がポイントとなる.
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