臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IV.肝・胆道・膵疾患
慢性肝炎 VS 脂肪肝
藤沢 洌
1
Kiyoshi FUJISAWA
1
1東京慈恵会医科大学・第1内科
pp.1938-1939
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216821
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なぜ鑑別が問題となるか
慢性肝炎と脂肪肝の鑑別が問題となる第一の理由は,いずれも臨床症状に乏しく,機能的にも両者の鑑別が困難であり,したがって本来可逆的である脂肪肝が慢性肝炎と診断される可能性が少なくないためであり,第二は,両者の治療法の原則がまったく相反し,前者は高カロリー食と安静を,後者は低カロリー食と運動を原則とするためである.
脂肪肝を病因論的にみれば,①肥満に伴う脂肪肝,②糖尿病性脂肪肝,③アルコール性脂肪肝,④医原性脂肪肝(tetracycline,glucocorticoidの投与,小陽バイパス),⑤栄養性脂肪肝(低栄養性・過栄養性),⑥中毒性脂肪肝(四塩化炭素,黄燐)などに大別されるが,多くは可逆性であって原因除去によって治癒する.しかし,表に示すごとく,脂肪肝と慢性肝炎の機能的鑑別は必ずしも容易でなく,脂肪肝はしばしば慢性肝炎と誤認される.
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