臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IV.肝・胆道・膵疾患
原発性肝癌 VS 転移性肝癌
河田 肇
1
Hajime KAWATA
1
1大阪労災病院・内科
pp.1934-1935
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216819
- 有料閲覧
- 文献概要
臨床上,鑑別の意義はあるか
いずれにしろ悪性腫瘍で,予後のきわめて悲観的な両疾患を鑑別しても,実際問題として,どのくらい患者,あるいはその家族に役立つことがあるだろうか.疾病統計や学術的意義を別にすれば,きわあて深刻な疑問といえよう.しかし原発性肝癌を切除可能な時期に発見して根治させることができるか,転移性の場合に,原発巣とともに肝転移も切除することが救命あるいは予後延長に役立つのか,多数の症例の積み重ねと,その追跡が待たれている.また肝癌の根治は望めないとしても,抗癌剤の使用方法,ことに選択的動脈カテーテルを介してステンレスコイルおよびゼラチンスポンジなどを用いた腫瘍部栓塞と抗癌剤局所使用の適応検討は患者の予後延長に影響するところが大きく,臨床経過の予測のためにも,両者を鑑別しておくことはかなり有用と考えられる.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.