臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
II.呼吸器疾患
過敏性肺臓炎 VS アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
可部 順三郎
1
Junzaburo KABE
1
1国立病院医療センター・呼吸器科
pp.1870-1871
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216791
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なぜ鑑別が問題となるか
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(以下ア症)は気管支喘息の一型であり,過敏性肺(臓)炎は肉芽腫性間質性肺炎であって,両者の臨床像はかなり異なる.しかし,後者が大量の抗原曝露を受けた場合には,悪寒・発熱・関節痛・倦怠などとともに咳噺・喀痰・呼吸困難を呈し,喘息類似の呼吸器症状を呈することがある.またア症の抗原はアスペルギルスで,ペニシリウム,カンジダなどでも同種類の疾患が起こるが,過敏性肺炎の場合にもアスペルギルス,ペニシリウム,アルテルナリヤなどの真菌胞子が抗原となりえて,両者ともに沈降抗体が証明される.すなわち発病の免疫学的機序に共通の基盤があるわけで,当然その中間型のような病態を呈する場合もありえよう.さらに正しく診断されないで年月をへると肺の線維化がすすみ,広汎なびまん性間質性病変から肺性心へと進展するようになると両者の鑑別はきわめて困難となる.
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