臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
I.循環器疾患
心膜液貯留 VS うっ血型心筋症
村松 準
1
Jun MURAMATSU
1
1北里大学医学部・内科
pp.1848-1849
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216783
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なぜ鑑別が問題となるか
X線上,心陰影が左右に著しく拡大した所見が示されるとき,心陰影の拡大が,多量の心膜液貯留による変化か,または,うっ血型心筋症におけるいわゆる心筋性拡大による変化かを,いつも考慮する必要がある.この両者では,いずれもX線透視によって心縁運動の減少または消失が示される,また,うっ血型心筋症では,しばしば胸水とともに心膜液貯留を伴うことがあり,心膜炎では心筋炎を合併することがある.
心膜液貯留が急性心膜炎によるときには,臨床的に,高熱,悪寒・戦慄,および突発性の激しい胸痛(その性状と部位は変動的である)などを伴うので鑑別は容易である.しかし,慢性心膜炎または非炎症性心膜液貯留のさいには,その程度が強ければ,うっ血型心筋症で示される臨床症状や徴候,たとえば安静時または労作時呼吸困難,動悸,咳嗽,および頸静脈怒張や肝腫大なども示されることが多いので,臨床的にも鑑別が問題になる.
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