今月の主題 甲状腺疾患診療の進歩
Graves病
非外科的治療
五十嵐 徹也
1
,
尾形 悦郎
1
Tetsuya IGARASHI
1
,
Etsuro OGATA
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.710-715
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216515
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診断
Graves病の治療を行うにあたり,正しい診断が最も重要なことはいうまでもない.理学所見からhyperthyroidismが疑えるときには,表11,2)に掲げた疾患に注意を払えばよい.hyperthyroidismがこれらのどれに由来するかは,①strumaの有無とその性状,②付随症状(眼症状など)の有無,および,③病歴より比較的容易に判断でき,①T3,T4,T3-RU,②自己抗体,③131I-uptake,④TSHを調べることによって,ほぼ確定することができる.臨床的に問題となる診断上の注意すべき点は,①masked toxicosis,②hyperthyroiditis,③妊娠時,④若年者,⑤新生児であろう.
hyperthyroiditisは,subacute thyroiditisなどに一過性に見られるもので,病歴を詳細に聴取することが必要で,疑わしい場合は,131I uptake,血沈によって確実になる.このときは,治療法として抗甲状腺剤を使ってはならないことから,とくにこの診断には注意を要する.他の項については後述する.
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