今月の主題 肺の炎症性疾患—最近の動向
形態学からみた肺炎
山中 晃
1
Akira YAMANAKA
1
1聖路加国際病院・病理
pp.326-327
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216428
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肺炎とは
肺に起こった炎症性反応を通常肺炎とよんでいるが,厳密には(肺胞性)肺炎pneumoniaと間質性肺炎in terstitial pneumonia(または肺臓炎pneumonitis)の二つに大別されてきた.肺炎は従来,肺胞性肺炎,肺胞内肺炎(intra)alveolar pneumoniaの意味で,ほとんどの肺炎がこの型だといって過言でなかった,これは間質性肺炎が稀であったことにもよるのである.
肺胞性肺炎は肺炎双球菌によることが多く,肉眼的には速やかに一肺葉に拡がる大葉性肺炎と細葉大から小葉大の小肺炎巣が多中心性に形成され,さらにそれが融合して亜大葉大までに拡大する巣状肺炎とに大別される.組織学的には肺胞腔には水,線維素,赤血球,大食細胞,好中球などの浸出が認められるが,肺胞隔壁(胞隔)では毛細血管の充血ないし好中球の細胞うっ滞以外にはほとんど反応がないのが特徴で,とくに間質性肺炎と区別する意味では肺胞性肺炎とよばれるべきものである.
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