今月の主題 心膜疾患の臨床
心膜疾患の主な病型
急性心膜炎
宮里 不二彦
1
Fujihiko MIYASATO
1
1沖縄県立中部病院・内科
pp.33-35
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216361
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診断のポイント
急性心膜炎が問題になるのは,主として患者が前胸部痛を訴えるときである.とくに発熱,頻脈,咳,呼吸困難を伴うときには心膜炎を考えて注意深く胸痛の性状を見極める必要がある.一般に心膜炎の痛みは前胸部の肋膜炎様の痛みであるが,鈍痛,圧迫感のこともあり,また前頸部,左上腕部に放散することがあり,心筋梗塞の痛みに似ているので注意を要する.心膜炎の痛みは仰臥位で悪化し,坐位,とくに前傾姿勢で軽減することは非常に特徴的である.また肋膜痛と同様に深呼吸および胸郭の運動で増悪する.
胸痛の性状から心膜炎を疑うときには,心膜炎に特徴的な心膜摩擦音の聴取に努める.心膜摩擦音は胸骨左縁,第3,第4肋間で聴取することが多く,聴診器の膜部で強く圧迫して聴診する.摩擦音が大きいときには仰臥位でも容易に聴かれるが,明らかでないときには坐位,とくに前傾姿勢で聴診する.心膜摩擦音は二相または三相からなる比較的粗い雑音で,とくに三相からなるときには非常に特異的な音であり,一度聴けば忘れられない音である.心膜摩擦音は聴診器で強く圧迫すると非常に耳に近く聴こえるのが一つの特徴でもある.
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