臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VI.血液検査
48.フィブリノゲン
山田 外春
1
1三重大第2内科
pp.1744-1745
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216152
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はじめに
Fibrinogenは血液凝固第Ⅰ因子といわれ,その確実なる生理的機能は血液凝固作用である.その質的異常としては,遺伝性の分子構造異常によるcongenital dysfibrinogenemiaと,肝障害などにおいて後天性に出現するacquired dysfibrinogenemiaが知られているが,これらは―とくに前者は―稀な疾患であり,一般にはfibrinogenの量的減少による出血性素因が臨床上重視されている.これにも先天性と後天性とがあり,後者は種々の疾患に起因するが,最近は血管内凝固線溶症候群におけるdefibrinationやfibrino-(fibrinogeno-)lysis,ひいてはその結果生ずるFDPによって惹起される凝固障害が問題視されている.fibrinogenの量的増加であるhyperfibrinogenemiaは,血管内凝固症候群の一要因でもありうる.さらにfibrinogenの変動は炎症,腫瘍などに関して,生体の防衛反応に重要な意義を有することが認められてきている.
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