臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VI.血液検査
44.全血凝固時間(第XIII因子を含む)
梅垣 健三
1
1奈良医大
pp.1736-1737
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216148
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
止血機序が正常に働くためには①血管,②血小板,③血液凝固能,さらには④線溶能が互いに協同して正常な相互作用を示すことが必要である.加えて最近,凝固線溶系に対してキニン,補体系が関与することが明らかにされてきている.現在まで血液凝固因子として13の因子(Ⅳは欠番)が承認されているほか,Fletcher因子(プレカリクレイン)およびFitzgerald因子(高分子キニノゲン)が確認されている.凝固因子の大部分は血液中に非活性型の酵素原として存在しているが,血液が血管外に出ると,血管内皮面以外の異物面との接触および組織液の混入により活性化されて,プロテアーゼとして次の因子を限定分解して活性化する一連の酵素反応を示し,最終的にフィブリノゲンをフィブリンに転化する.血液を採取してこのトロンビンーフィブリノゲン反応までを総括的に全血を用いて試験管内で観察するのが全血凝固時間(CT)測定法である。CTの大部分は内因性凝固因子が活性化されて血液トロンボプラスチン生成に要する時間に消費される.トロンビンがフィブリノゲンに作用するとただちにフィブリノペプタイドが遊離され,可溶性のフィブリンモノマーが産生される.一方,Ca升の存在下にトロンビンは非活性な第XIII因子を活性化し,活性第XIII因子はフィブリン分子のα・γ鎖間に—CO-NH—結合による架橋形式を促進し,フィブリンモノマーを強固な不溶性フィブリンとする.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.