読者からの手紙
日本の果てから
徳之島保健所保健婦一同
pp.9
発行日 1958年7月10日
Published Date 1958/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201674
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雨が降りつづきうつとうしい毎日でございます.先生始め皆様方にはお忙しい毎日でございましよう.私共の出発に際しましてはいろいろ御配慮いただきまして誠に有難うございました,日本の最南端徳之島へ希望と情熱を持つて張切つてまいりました.白羽の矢が立ったのだからどうせ逃れつこないし,行くなら,にこにこして行きましようと3人,始めは何も知らずにやつてまいりました.先ず亀徳の港に着きました.ハシケに乗りうっり,大きい波間をゆられ小さいわら屋根の列んだ田舎町に着いた時はあまりにも吃驚して泣いてしまいました.職員の皆さんが迎えに来て呉れました.亀津に着いたら少しは良い町でした.そしてホツトしました.翌日町営住宅に入れていただきました.家は文化住宅ですが,ランプで,水は生水でのめないポンプです.新聞は1週間おきにドサリと来て読みたくありません.勿論,ラジオもきけません.こうした生活が始まりました.保健所は役場のせまい2階,座る椅子もなく,あつちへ立ちこつちへ立ち,と云う毎日のあけくれ,でも新庁舎がやっと出来上り,16日より引越,毎日大きい荷物を持つての運搬で重労働です.食物は青野菜もなくじやが芋と,玉葱,サツマ芋,時たま人蔘が出ている位,それが皆本土から来るので高い事,玉葱1コ30円,キウリ1本30円,魚は1斤180円驚いて手をひつこめてしまいます.肉はブタ肉だけ,でも此の間,牛肉がありました.それもつのをつけて,目玉,歯のついた頭が店先に列べてあります.
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