今月の主題 酸塩基平衡の実際
酸塩基平衡異常の臨床・その他
術後
𠮷竹 毅
1
1東大胸部外科
pp.1508-1509
発行日 1979年10月10日
Published Date 1979/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216082
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はじめに
生体に侵襲を加える外科的処置により,循環不全および急性代謝異常を大なり小なり発生せしめるが,それらによる酸塩基平衡障害は,ほとんど生体内に酸異常発生(投与)に伴う代謝性アシドーシスの発生である.換気の面では術後早期,自然呼吸とした際の呼吸抑制に伴う呼吸性アシドーシスである.一般には,この換気変化は軽度であり,以後,細気管支への微小分泌物の貯留,肺間質への水分貯留などにより,肺内短絡の増加,換気血流比の不均等による低酸素血症のため,換気反応として過換気傾向となり,呼吸性アルカローシスに傾くが,肺胞低換気および死腔換気の増加をきたすような事態が生ずれば呼吸性アシドーシスの発生持続となる.
手術後2〜3日経過すると,術中投与の有機酸塩の代謝,あるいは軽度循環不全の持続による二次性高アルドステロン症および利尿剤の使用により,代謝性アルカローシスをきたす傾向となる.経過順調な場合,これらの変化は1週間後程度において正常化するのが通例である.この間,種々な異常が起こると,また別の酸塩基平衡異常の発生をみる.以上の変化の主なものについて,以下に述べてみたいと思う.
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