今月の主題 癌と免疫
癌抗原の検出
ホルモン
武部 和夫
1
1弘前大第3内科
pp.995-997
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215950
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はじめに
悪性腫瘍ではしばしば異常な蛋白が合成されることが知られているが,最近,ホルモン,とくにペプチド,糖蛋白よりなるホルモンが産生されることがわかり注目されてきた.内分泌腺から良性ないし悪性腫瘍が発生するが,良性のものでは内分泌活動が盛んとなり,悪性のものでは低下することが多いとされている.しかし,稀に内分泌活動の盛んなものがある.これらは正所性ホルモン産生腫瘍と呼ばれているが,悪性腫瘍としてはhuman chorionic gonadotropin(hCG),human chorionic somatomammotropin(hCS),human chorionic thyrotropin(hCTSH),estrogens,progesteronなど胎盤ホルモンを産生する絨毛上皮腫,種々のステロイドホルモンの増加をきたす副腎皮質癌などが知られている.
一方,腫瘍の発生母体組織が本来産生しないホルモンを産生することが認められ,これは異所性ホルモン産生腫瘍と呼ばれ,蛋白合成異常の一つと考えられている.本腫瘍ではすべてホルモンに特有な分泌過剰症状を呈するとはかぎらず,症状を呈したものは異所性ホルモン症候群と呼ばれている.
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