今月の主題 癌と免疫
癌抗原の検出
塩基性胎児蛋白
石井 勝
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.990-991
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215948
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はじめに
塩基性胎児蛋白Basic Fetoprotein(以下BFP)191974年,筆者1,2)によりヒト胎児の血清,腸および脳組織中に発見された蛋白である.従来の胎児性蛋白,α-フェトプロテイン(AFP),癌胎児抗原(CEA)などは酸性蛋白であるが,これらと対照的に,本蛋白は塩基性である.この特徴からBFPという名称がつけられた、他方,臨床上の特徴としては,血清中のBFP測定が特定臓器の癌診断ではなく,非癌疾患と諸種の癌疾患との鑑別診断に役立つことである.既知の胎児性蛋白と比較して,BFPにはこのような2大特色がある.
BFPの研究は未だ歴史も浅く,未知の点が多いが,現在までの筆者らの成績を下記に紹介する.
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