今月の主題 胃癌とその周辺
グラフ
胃潰瘍瘢痕と陥凹性早期胃癌の鑑別
崎田 隆夫
1
,
福富 久之
1
,
中原 朗
1
1筑波大臨床医学系内科
pp.688-690
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215876
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はじめに
消化器症状をもって来院した患者のX線,内視鏡写真上に,何らかの異常所見を認めたとき,臨床医の注意は,この病変が悪性か否かという点に払われる.従来は,この良悪性の鑑別が消化器病にたずさわる医師にとって大きなテーマであった.その後,この問題は多くの研究者により検討され,X線,内視鏡を用いた診断技術のめざましい進歩に伴い,診断法としてほぼ確立された観がある.しかしながら,筆者らは日常臨床において良性と診断して行った生検の結果が悪性であったり,悪性と診断して行った生検の結果が良性であったりする症例をしばしば経験する.このことは,検査医の目のみによる診断がいかに危険であるかという事実を示している.本稿では,胃潰瘍瘢痕と陥凹性早期癌,とくにIIc型早期癌との鑑別が,症例によりいかにむずかしいかと言う点について述べてみたい.
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