今月の主題 胃癌とその周辺
胃癌の経過
胃癌の初期像
金子 栄蔵
1
1浜松医大第1内科
pp.670-671
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215870
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はじめに
内視鏡,X線検査の進歩に伴い,長径1cm以内のいわゆる微小胃癌の診断も可能になった.また,早期胃癌はしばしば多発し,手術の結果,副病変としての小胃癌が病理学的検索により発見されることも少なくなく,このような小胃癌の集積により,胃癌の初期像が次第に明らかになりつつある.一方,われわれ臨床医にとって興味深いのは,内視鏡検査により胃癌と診断された症例で,過去にも内視鏡検査を受けている例が増し,それらの記録をretrospectiveに検討すると,きわめて早期の像がすでに記録されていることがあり,そのような早期の像と,診断時点での像とを対比することにより,胃癌の初期像のみならず,その発育型式,発育速度などが推測されることである.また,当然そのような検討により潰瘍やポリープと癌との関係へメスを入れることも可能である.
以上のような視点から,胃癌の初期像とその後の発育について述べてみたい.
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