Japanese
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今月の症例
linitis plastica型胃癌の初期像と考えられたIIc型早期胃癌の1例
Radiographic and Endoscopic Findings in “Pre-linitis Plastica” Type of Gastric Cancer, Report of a Case
横峰 和典
1
,
多田 修治
1
,
川野 芳郎
1
,
藤本 貴久
1
,
須古 博信
1
,
神尾 多喜浩
2
Kazunori Yokomine
1
1済生会熊本病院消化器病センター
2済生会熊本病院病理部
pp.10-12
発行日 2004年1月25日
Published Date 2004/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100404
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〔患 者〕 56歳,女性.50歳時より近医にて年に1回胃内視鏡検査を受けていたが,異常は指摘されなかった.1998年2月ごろ,軽度の心窩部痛を自覚.同年3月に当院人間ドックを受診したところ,内視鏡検査にて胃体中部大彎側に小さな不整形の陥凹性病変を認め,生検にてGroup V(signet-ring cell carcinoma)であったため,3月27日入院となった.
〔胃X線所見〕 胃体中部大彎側に,ひだの途絶像が認められ,同部に不整な径7mm大のバリウム斑を認めた.潰瘍の存在を示唆するひだの集中像はみられなかった(Fig.1a, b).圧迫像では陥凹周囲の透亮像が目立ち,粘膜下層への癌の浸潤が推察された(Fig.1c).
〔胃内視鏡所見〕 胃内の空気をやや抜いた状態での病変部の遠景像では,病変部は胃体部のひだ上の小さな陥凹性病変としてようやく認識できる程度であった(Fig.2aの矢印).胃内の空気量を増すと病変はIIa+IIc様になり,辺縁隆起の立ち上がりはなだらかであった.陥凹面は,やや発赤調で潰瘍や顆粒状の変化はなく平坦であった.周辺の皺襞の伸展性に変化はみられなかった(Fig.2b~d).以上より,局所に限局した深達度sm2またはsm3の未分化型癌と考え,遠位側胃切除術を施行した.
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