特集 産婦人科診断--最近の焦点
癌の初期像—上皮内癌
野田 起一郎
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.1048-1049
発行日 1970年12月10日
Published Date 1970/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204311
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子宮頸癌の発生の最も初期の段階には上皮内に限局する時相があるという点については誰しも異論がない。ただ,問題はこのような時相の病変をいかにしたら的確に認識することができるかという点にある。その組織学的所見として,常識的には癌と全く区別し難い異型細胞が上皮内に限局した像ということができるが,この規定はきわめてあいまいであり,主観に大きく左右される。そして,この診断基準の不備が上皮内癌の本態に関する意見の不統一と関連している。しかし,最近はfollow upによってその病変の性格を確認しようとする研究がさかんとなり,その診断基準も次第に整理されつつある。以下,最近の知見を加味して,上皮内癌の組織学的診断基準を述べる。
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