連載 事例と判例で考える病院の看護水準と事故防止・11
ABO型不適合輸血による事故
恩田 清美
1
1東京海上日動メディカルサービス(株)メディカルリスクマネジメント室
pp.950-956
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100267
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はじめに
日本輸血学会の報告によると,1995(平成7)年から1999(平成11)年の5年間で,ABO型不適合輸血の経験のある病院は578病院中115病院(20%)あった。このうちABO型不適合輸血の件数は166件であった。この20%を「多い」と考えることは重要である。なぜならばABO型不適合輸血はあってはならない医療事故であり,明らかな医療過誤となるからである。実際,過去に輸血事故として刑事責任が問われた例はほぼABO型不適合輸血である。ABO型不適合輸血については現在では医療側が免責される余地はない。医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師を問わず過失によってABO型不適合輸血を起こし,患者に死傷の結果が生じた場合には,民事責任は勿論,刑事責任(業務上過失致死)の対象ともなる1)。
今回は事例を通して,ABO型不適合輸血が起こる原因と今後の対応策について考えていく。
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