今月の主題 心筋症—その展望
心筋症を疑うとき
心電図
金沢 知博
1
,
鳥 健
1
1秋田大第2内科
pp.66-69
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215723
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はじめに
特発性心筋症(ICM)は通常,肥大型閉塞性心筋症(HOCM),肥大型非閉塞性心筋症(HCM)およびうっ血型心筋症(CCM)に分類される1),かつて「くずかご疾患」といわれた本症も現在では心エコー図(UCG)や心臓カテーテルおよび心血管造影法などにより積極的に診断されるようになったが,心電図異常が本症発見のきっかけとなる場合がきわめて多い.このような心電図異常は,ICM各型に共通するものとしてST・T異常,左室肥大,異常Q波,septal Qの消失などがあり,CCMでは低電位差のみられる傾向が強い.また心房細動,心室性期外収縮,心室頻拍などの刺激生成異常や房室ブロック,脚ブロックなどの興奮伝導障害も各型にみられるが,このような不整脈はどちらかというとCCMに多い傾向にある.そのほか,少数ながらWPW型心電図を呈することもある.
いずれにしても,病歴,自覚症,臨床所見などと対比して説明のつかない上記のごとき心電図異常をみた場合,ICMの可能性を考え,さらに検索をすすめる必要がある.
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