臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
XII.感染症
2.宿主の特殊条件下の化学療法
術後感染の対策
岩井 重富
1
1日大第3外科
pp.2332-2335
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208355
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はじめに
外科治療において化学療法の発展は大きく寄与し,今日の外科的治療の適応の拡大をもたらしたが,術後感染症はより複雑なものとなっている.ここ10年来グラム陰性桿菌感染が主位を占め,近年ではPseudomonas,Klebsiella,Proteus,Enterobacter,Serratiaなどの従来弱毒菌とされてきたもの,またBacteroidesなどの嫌気性菌による重症感染が増加しており,改めてhost-parasite relationshipが問われるようになってきている.
胃癌患者の胃切除術後感染の頻度は,潰瘍その他の良性疾患と比較して,感染率は2倍以上であり,創外感染でも2倍,手術創,腹腔内感染では3倍以上の感染率である.診断技術および麻酔の進歩に伴い,悪性腫瘍などの宿主条件の悪いものに対する拡大外科手術症例は増加し,術後感染の軽重を問わず,菌交代症や菌血症,敗血症,Endotoxin shockそしてDICへと進展する可能性をもっている.したがって,感染部位や臓器の早期確認につとめ,原因菌の推定,同定,薬剤感受性成績と臓器移行性を考慮して適切な化学療法を行う必要がある.
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