臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VII.代謝・栄養障害
5.痛風治療のポイント
痛風の急性発作時の治療と予防
西田 琇太郎
1
1東大物療内科
pp.2070-2071
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208257
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はじめに
痛風ではある日突然,多くは足の親指の趾骨関節に激しい疼痛と発赤,腫脹を伴って急性関節炎が発現する.この関節炎は放置しても数日で自然に緩解することが特徴で,単に痛風発作ともいわれる.痛風発作は外見上では細菌感染による炎症と同様で,検査所見でも血沈亢進,CRP陽性,白血球数増加がみられる.しかし痛風は中年以後の男性に多く,血清尿酸値も7mg/100ml以上の高値を示す.また以前にも同様の関節炎発作の既往があれば診断は容易である.発作時に関節液を採取して尿酸塩の針状結晶を証明すれば診断は確実である。痛風発作の特効薬であるcolchicineを試用して効果をみることも診断に役立つ.
痛風ではプリン代謝の終末産物である尿酸が体内に増加している.尿酸は生理的機能を持たないが難溶性の物質で,高尿酸血症ではわずかの誘因で尿酸塩の針状結晶として析出する.この尿酸塩の針状結晶は負に荷電しており,関節液中のHageman因子を活性化,ついでkallikrein,kinin systemよりkininの生成をきたす.また結晶は生体にとって異物であるため多核白血球に貪喰され,白血球内のlysosomal enzymesを放出させる.このlysosomal enzymesが急性炎症を惹起させると考えられている.
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