臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VI.内分泌疾患
3.甲状腺疾患治療の問題点
甲状腺腫—その手術適応
藤本 吉秀
1
1筑波大臨床医学系外科
pp.2020-2021
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208238
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はじめに
近年甲状腺に関する各種検査法の進歩により,それぞれの疾患の診断が正確につくようになった.バセドウ病の手術適応は別に詳しく記されるので省略する.橋本病や亜急性甲状腺炎は原則として手術をする必要はない.
比較的珍しい疾患として,先天性甲状腺ホルモン合成障害dyshormonogenesisがあり,この疾患では甲状腺が全体として腫大しているほかに,その中に大小さまざまの結節が合併して触れることがある,しばしば巨大な甲状腺腫を形成してくるので,外科医がみると直ちに切除をすすめる傾向があるが,基本にあるのは甲状腺ホルモン合成障害であるから,甲状腺機能検査を行い病態を正しく把握し,甲状腺ホルモンの投与を行うのが根本にある治療である.しかし,すでに結節状増殖を生じたもの,あるいはさらに腺腫を思わせる結節の生じているものでは,甲状腺ホルモン剤投与によっても十分縮小することはなく,悪性腫瘍あるいは増殖傾向の著しい腺腫の合併を疑って手術することがある.
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