臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
II.循環器疾患
3.不正拍の治療
房室ブロックの薬物療法
杉本 恒明
1
1富山医薬大内科
pp.1782-1783
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208149
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はじめに
房室ブロックは心房から心室への興奮伝導の低下ないしは途絶した状態であり,心房から房室結節までの間,房室結節内,His束内,His束から両脚にいたる間,あるいは両脚・脚枝のすべて,のいずれに障害があっても起こりうる.ブロックの程度は完全と不完全とに分けられ,これによって生じる症状は無症状のものから,動悸めまい,失神発作(Adams-Stokes症状)やうっ血性心不全にまで及ぶ.原因としては薬物・電解質などの機能的異常,先天性障害,心筋梗塞などの虚血性障害,リウマチ熱などの心筋炎,原発性心筋疾患などがあり,伝導系に原発性に変性・線維化・硬化の進行する例の少なくないことも注目されている.
房室ブロックの治療に当たっては,症状,ブロックの程度,原因・基礎疾患,ブロックの部位の4点を勘案し,当面の,そしてまた今後進展しうる病態を推測して対処するわけである.対処の仕方は,①経過観察,②薬物療法,③一時的ペースメーカー挿入,④恒久的ペースメーカー植え込み,に大別される.薬物療法は効果の上では限界があるものの,あらゆる場合において,まず緊急に行われる治療であり,この意味では第1選択の治療法である.
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