臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
I.救急車で運ばれてくる重症患者の処置
乏尿—急性腎不全を中心に
辺見 弘
1
1日本医大救命救急センター
pp.1754-1757
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208139
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
救急車で来院する患者の中で,乏尿または無尿を唯一の主訴とすることは尿閉を除いては稀である.しかし,外傷,熱傷,イレウス,呼吸不全,心疾患,感染症,術後合併症などで搬送されてくる症例の一症状として乏尿をきたすことはきわめて多い.
終末代謝産物を排泄し,生体のhomeostasisを維持するためには,腎の濃縮力の限界から400ml/dayの尿量が必要とされている.それゆえ400ml/day以下を乏尿,100ml/day以下を無尿と定義されているが,濃縮力の低下した症例では2〜3l/dayの尿量がありながら窒素血症の進行するいわゆるhigh output renal failureも良く知られた事実であることから,尿量の減少だけが急性腎不全の必須条件ではない.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.