臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
I.救急車で運ばれてくる重症患者の処置
ショック
田頭 勲
1
1日本医大救命救急センター
pp.1724-1726
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208129
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はじめに
ショックの病態生理については,今なお十分解明れていないのが実状であるが,実際臨床面では,いかなるタイプに属するものかを正確に把握し,迅速な治療を開始することが,その予後を左右する上で最も重要なことは当然であろう.たとえば,hypovolemic shockやcardiogenic shockでは,一般的に血圧下降,頻脈,CVP低下,乏尿,心拍出量減少,皮膚冷感などの徴候を呈するが,敗血症の初期や急性心筋梗塞の一部では,これらの徴候が認められないこともあり,臨床的にショックを評価するのは,なかなか困難なこともある.
近年,ショツクの定義は,その病態像より「末梢循環不全に伴う細胞の代謝異常」という考え方が定説となっている.1972年,M. H. Weilら1)は,循環性ショックの分類訂正を行って,4つのhemodynamic defectsのうちの1つ,もしくはいくつかの組み合わせによる末梢循環不全とした考え方を唱えており,われわれ臨床家にとってきわめて理解しやすい分類と思われる.そこで,これらを基に,末梢循環不全の把握,診断,治療の概要などについて述べてみたい.
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