図解病態のしくみ 血液疾患・2
網赤血球増加
高橋 隆一
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1済生会中央病院内科
pp.1670-1671
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208117
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ある種の塩基性色素(ブリリアント・クレシル青,ニューメチレン青など)によって赤血球の超生体染色を行うと,線状または腰粒状に青く染まる物質をもっている赤血球がみられる.これが網赤血球reticulocyteで,脱核した多染性赤血球から成熟した正染性赤血球への過程にある幼若赤血球であり,1〜2日で成熟した正染性赤血球となる.正常の場合には有核赤血球が末梢血中にあらわれることはなく,脱核した網赤血球または成熟赤血球になってから,骨髄から末梢血中へ遊出してくるが,その機序は十分にはわかっていない.
正常の場合には,末梢血中の網赤血球は5〜10‰,実数として5×104/μl前後といわれているので,それ以上に増加した場合を網赤血球増加reticulocytosisとよんでいる.網赤血球増加は,骨髄の赤芽球系の過形成を反映する所見であるが,赤芽球系の過形成があっても網赤血球増加を認めない場合がある.
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