Senior Course 血液
網赤血球の増加と減少
中島 弘二
1
1山口大第3内科
pp.236-237
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908453
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赤血球は骨髄内で生産され末梢血中に供給される.血管内を循環し120日後網内系に取り込まれ破壊される.破壊された量だけ骨髄より補われ,血管内に一定量の血液を保っている.
赤血球およびその母細胞である赤芽球のすべてを包含する解剖学的系統をerythronと呼び体内のガス運搬を受け持つひとつの臓器として考える.erythronを3つに分けると便利である.すなわち赤芽球,網赤血球,成熟赤血球でありその関係を図1に示した.幹細胞より分化した赤芽球は成熟することにより核が濃縮し細胞質がせまくなり細胞質内にヘモグロビンが生産蓄積されていく.成熟が進むにつれて核はさらに濃縮し無構造となりやがて脱核する.この時点において,完全に成熟した赤血球とは区別される.すなわち脱核したばかりの赤血球はなおミトコンドリア,リボゾーム,セントリオール,ゴルジ小体を含んでいる.ニューメチレン青,ブリリアントクレーシル青による超生体染色によって成熟赤血球と区別されるがこれらの色素によってみられる顆粒状,糸状構造は色素による人工産物であり,リボゾーム,ミトコンドリアなどの細胞内微小構造物の凝集沈殿である.その形態学的特長により網赤血球と呼ばれている.ライトまたはギムザで染色した場合網赤血球は青味を帯びた大型の赤血球として染まる(多染性大赤血球).細胞内に残っているRNAが青く染まる.血管内に入った網赤血球はさらに24時間の間にヘモグロビンののこり20%を作る.
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