今月の主題 人工透析か腎移植か
特殊疾患での透析
合併症のある腎不全
佐谷 誠
1
1国立循環器病センター・緊急部
pp.1416-1419
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208051
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はじめに
腎機能低下を招来し人工透析が必要な疾患として考えられるものは,表1,2のように多岐にわたっているが,これらの疾患と原因的にまったく別のもの,たとえば呼吸器系・消化器系・循環器系・血液系の疾患などを持ち,かつ腎障害をも伴える患者が合併症のある腎不全というべきかもしれないが,これらの患者においてはやはり腎不全対策と平行して個々の疾患に対する治療を施行すべきであって,その際とくに注意すべきことは,合併疾患に対する治療上の投薬量および投薬方法の問題がある.腎機能低下による薬剤の尿よりの排泄障害や,一方,透析中には薬剤の本外への排泄による血中濃度の変化や体液量および質の変動による薬効の変化,血中濃度(K濃度の変動でのジギタリス)などを考慮しなければならない.
これらの問題はむしろ腎不全時における薬剤の使用法であって1),腎機能廃絶状態であっても腎不全に対する透析を十分に施行しておれば,なんら合併症に対して治療(内科的・外科的)を加えることに躊躇する必要はない.
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