今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
周辺領域
リンパ増殖性症候群との関係
小川 一誠
1,2
,
稲垣 治郎
1,2
1癌研化療科
2癌研癌化療センター
pp.1164-1165
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207993
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はじめに
Myeloproliferative disorder(骨髄増殖性症候詳)という概念に対比するLymphoproliferative disorder(リンパ増殖性症候群)はDameshek1)の提唱したもので,表に示されるようなリンパ球,リンパ組織の反応性,腫瘍性または免疫性の変化すべてを含む総称である.この分類で奇異に思われるのは,悪性リンパ腫に含まれるポジキン病,細綱肉腫が含まれていないことであり,またgiant follicular lymphomaに関してもlymphosarcomaの中に"9にant follicular"とあるのに入れるのか否か,はなはだあいまいである.よって両症候群の関係を記述するのに困難が感じられるが,ここでは一応Dameshekが腫瘍性と分類している病変中の白血病とmyeloproliferative disorderとの関係につき解説する.
従来この両症候群は,増殖する綱胞が骨髄系緬胞(赤芽球系,顆粒球系,血小阪系)と,リンパ球とまったく異なっているため,相互に移行することは非常に稀とされていた2)が,免疫学上の方法論の進歩によるリンパ球の膜表面形質の検索,またterminal deoxynucleotidyltransferase(TdT)活性の測定などの方法の進歩により,両症候群がかなり密接に関係していることが明らかにされつつある.
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