今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
骨髄線維症
実験的発症
田中 昇
1,2
1千葉県がんセンター研究所
2日大病理学
pp.1139-1141
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207984
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はじめに
骨髄線維症とは,元来,全身の胃髄組織に広汎な系統的線維化が起こる疾患を総称したもので,骨髄におけるこうした異質の細胞,組織によって造血が置換される,いわゆるspace occupyinglesionに起因する最も顕著な範疇に属する代償性髄外造血を随伴するのが通例である.血液学的・臨床的知見はすべてこのような病変を反映するものである.
系統的骨髄線維化は種々の病因に続発して発現する.たとえば,癌の系統的骨髄転移,白血病の修飾像,Hodgkin病,骨髄腫などに続いて発症する場合が多く,これらを続発性骨髄線維症secondary myelofibrosisと呼んでいる.ところで,まったく原因の不明な例があり,これに対して原発性ないし特発性骨髄線維症primary(またはidiopathic)myelofibrosisと称している.問題になるのはこの原発性骨髄線維症である.以下発症実験成績を述べるに先立って,本症の病理学知見と,造血臓器系を中心とした病態生理,とくに血液学的所見の概要について述べ,このなかから原因になりうるような因子を探り出して,諸家の実験所見と対比したい.
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