天地人
赤脚医生
磐
pp.1081
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207968
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1960年代の後半,中国の文化大革命のときの話である.医者は都会の医科大学や病院にばかりいてはいけない.大衆と遊離して資産階級化したエリートとなって革命精神を忘れて堕落するからである.はやく社会へ出て人民のために奉仕し,農民と労働者に学べ,という毛沢東主席の発案で,医科教育は3年に短縮され,学生や都会の医学校や病院の医師はただちに農村に下放され,若干の医療教育をうけた一般人の赤脚医生(はだしの医者)や漢方医(中医)と混って医療工作に従事させられた.
ところが,このようにして下放させられた都会育ちの医師の中には,地方で満足な医学教育もうけず,経験と乏しい医療設備だけで地方農民の診療にあたってきた「はだしの医者」よりも実力がなく,まったく無能に近い者が少なくないことがわかって問題となったという.
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