中国の旅・7
赤脚医生
伊藤 誠
1
1千葉大建築学
pp.60-63
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206232
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人民公社
前回までの報告は病院が中心であった.しかし"農業を基礎に工業を導き手とする"経済政策の根本方針と歩調を合わせて,医療も"重点を農村におく"のが大原則である.とすれば,当然のことながら,広大なそして人口の8割をかかえている農村の医療保健をになう「赤脚医生」つまり‘はだしの医者’の方が話題としては重要になってくる.
今度の旅行で,農村へ行ったのは前後4回であるが,医療について見たのはそのうちの3回であった.すなわち,北京の南郊15kmほどのところにある紅星人民公社と鄭州の南10数kmの十八里河人民公社,それに上海市の中心部から西南へ約20kmの塘湾人民公社の3つである.「人民公社」は,既に広く知られているように,農村における社会主義建設の中核をなす生産単位で,その規模は,たとえば〈紅星〉で12000戸,〈塘湾〉では5700戸と聞いたが,一説によれば平均的には1700戸程度だという.そして,今や全国ほとんどすべての農民がそれぞれの人民公社組織に組みこまれているのである.ひとつの公社はいくつかの生産大隊に,さらにそれぞれがいくつかの生産隊にわかれている.公社を村と見れば大隊は部落,生産隊は隣組にたとえられようか.
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