今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床
栄養素と酵素蛋白の吸収
小腸におけるアミノ酸ペプチドの吸収
荻平 博
1
1徳島大・栄養学科病態栄養学
pp.626-628
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207859
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はじめに
蛋白質の消化産物が如何なる形で,如何なる機構で吸収されるのかという問題の解明は単に生理学的な興味の対象となるだけではなく,栄養学的にも極めて重要な意義を含んでいる.
蛋白質の摂取後,門脈中に現れるその消化産物はすべてアミノ酸であり,蛋白質は吸収される前に腸管腔内で完全にアミノ酸にまで分解されるものと考えられてきた.もっとも1960年NeweyとSmyth1)は,ラットを用いてグリシルグリシンをはじめとする5つのジペプチドは小腸粘膜細胞にとりこまれたのち,加水分解されることをかなり明瞭に示したにもかかわらず,ペプチド吸収の研究は最近までほとんど進展をみせなかった.
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