今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床
消化・吸収異常の概念とその分類
岡部 治弥
1
1北里大内科
pp.609-611
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207854
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概念
元来,消化器系の機能は食物,ビタミン,電解質などの諸栄養素を消化し,腸管腔内より体液中に吸収・輸送することにあり,これを同化assimilationと呼ぶ.消化・吸収異常とは正常にこの同化機能が行えなくなった同化異常malassimilationの状態である.この病的状態は消化器系の種々の機能不全により発生するが,その原因は多彩である.
同化に必要な機能を持つ臓器として,胆汁を分泌する肝臓,含水炭素,蛋白,脂肪の消化酵素分泌の第1の源である膵臓,全栄養素の吸収・輪送をうけもつ小腸粘膜,および脂質を血中に送り込む腸リンパ系がある.そして正常の同化作用を営むにはこれらの臓器,とくに腸管が全長にわたり正常の解剖学的連続性をもっていることが必要である.すなわち,手術による胃腸管の部分的切除や,不自然な流れを起こす胃腸ないし腸腸吻合術は軽重種々の同化異常をひき起こしてくる.
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