今月の主題 新しい糖尿病の臨床
合併症
糖尿病性網膜症の治療
福田 雅俊
1
1虎の門病院眼科
pp.490-492
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207821
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はじめに
糖尿病性網膜症(以下網膜症と略す)は,糖尿病性代謝失調の長期持続の結果生ずる網膜血管の閉塞性病変である.したがって,その治療も糖尿病自体の管理・正常化に始まり,これに終わることが原則である.しかし,その病変がある限度以上に進行すると,現行の糖尿病管理・治療法のみでは,その進行を阻止できなくなる.そこで次のような特殊療法が必要になる.網膜症にみられる網膜血管閉塞性病変は,局所的な血管内血液凝固症候群と考えられるから,これに準じた治療法が必要となるが,とくに進行の激しい病型のものは外科的な治療も必要になる.また,現行の治療法もすべて完全なものではなく,最新の精力的な治療にもかかわらず,進行悪化する網膜症が存在することも確かで,理想的な治療は,糖尿病の早期発見,早期治療開始以外にないことも忘れてはならない.
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