演習・X線診断学 血管造影写真読影のコツ・15
頭部血管造影(3)—腫瘍による血管の偏位
志賀 逸夫
1
1慶大放射線診断部
pp.405-411
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207795
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midline shift
天幕上では,前大脳動脈(主にpericallosal artery)と内大脳静脈の偏位があり,後頭蓋窩ではprecentralcerebel1ar vein,後下小脳動脈のvermis branchおよびinferior vermian veinの偏位がある.これらはいずれも大脳半球間,小脳半球間,その他の裂溝に深く入り込んでいるので,一側性の占拠性病変によって敏感に偏位を生ずるし,また偏位が重要な意味を持つ.正中あるいは傍正中を走っていても,裂溝内へ入っていない血管はmidline shiftのよい指標とはならない.
前大脳動脈の偏位は大脳鎌下での大脳半球の対側への脱出を示しているので,subfalcial herniationとも呼ばれる.大脳鎌は非常に硬い組織で,髄膜腫のような腫瘍を除いて偏位や変形を生じにくい.pericallosal arteryは大脳鎌下にあり容易に偏位するが,末梢では大脳鎌に接しており正中へ戻る.frontopo1ar, callosomarginalarteryなどは分岐後すぐに大脳鎌のレベルに達するので偏位しがたい.
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