演習・X線診断学 血管造影写真読影のコツ・18
心血管造影(3)
松山 正也
1
,
渡部 恒也
1
,
栗林 彰夫
1
1東海大放射線科
pp.862-868
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207918
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僧帽弁狭窄症
Brockenbrough法による経心房中隔左房造影や,肺動脈への造影剤の注入による静脈相で左房が造影されると,僧帽弁尖がdome状に左室側へ向かって張り出して,狭窄部から左室へ向かう造影剤の噴出像jetがみられる.左室が造影されると,左室との間に肥厚した弁尖が陰影欠損となってdomeを形成しているのがよくわかる3).しばしばこの弁尖や弁輪部に著しい変形と運動制限がみられるが,これは正面,側面または右前斜位でのX線映画で最もよく観察される.左房の拡大程度や血栓による左房内陰影欠損,辺縁不整などを1もよくみておくことが大切である.
左房が造影されていながら左心耳の造影がみられない場合は,血栓の可能性が高い.左室造影では僧帽弁尖を直接に認めることはできないが,弁口部の不整像,収縮期・拡張期における弁尖の動き,ことに側面での弁尖部の後方への移動などに注意する.
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