今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた
胸痛を伴う主な疾患
肺塞栓症
大崎 饒
1
1北大第1内科
pp.356-357
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207781
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はじめに
肺塞栓症(肺血管床を閉塞する物質として,脂肪球<外傷時>,羊水,腫瘍細胞,あるいは空気などの稀な例を除いてその多くは静脈血栓由来のものであるから,ここでは肺血栓塞栓を意味する)は,わが国においても胸痛をきたす疾患のうち,重要な位置を占めるようになってきた.これは発生の頻度の増加と,依然として確定診断の困難なことに起因するものと考えられる.
血栓の起源は,慢性心房細動時の右房に生じた壁在血栓,あるいは肺動脈自体に生じた血栓に由来するものもあるが,これらは比較的稀で,ほとんどは下肢または骨盤の深在静脈の血栓によると考えられている.この意味では,肺血栓塞栓症は末梢静脈血栓症の合併症の一つと考えられる.
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