今月の主題 急性期脳卒中の臨床
臨床のトピックス
DICと脳卒中
東儀 英夫
1
,
山之内 博
1
1東京都養育院付属病院神経内科
pp.64-65
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207703
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DICの診断
DIC(disseminated intravascular coagulation)症候群は老人専門病院では決して稀ではない.筆者らの病院における剖検例のうち,約15%の症例が生前にDICの臨床所見を呈していた.このようにDICの頻度が高い理由として,老年者ではDICの原因となりうる疾患が多いことももちろんあるが,フィブリノーゲン,FDPなどの凝血学的検査を頻繁に行っていることも無視できない.したがって,小児科領域産婦人科領域,あるいは一般成人においても,凝血学的検査を頻繁に行えば,より多くのDIC例が見出される可能性もある.DICを疑う端緒となる最も簡単な検査は血沈であり,重篤な病状であるにもかかわらず血沈値が遅延している場合には,DICを強く疑う必要がある.
患者が入院したときに,将来DICが問題になった場合に参考になる検査をあらかじめ行い,経時的に追跡しておくと,DICの傾向が出現し始めたときに,検査値の解釈に際し非常に参考になり,早期治療に結びつけることができる,なぜなら,DICの診断に際し,血液凝固学的検査の絶対値のみでなく,その変動も重要だからである.
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