私の経験例
末期まで表在性リンパ節腫脹を欠き,診断困難であった細網肉腫の一例
笹村 義一
1
1金沢鉄道病院保健管理部第2科
pp.2187
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207634
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不明の発熱をきたす疾患としては,感染症と並んで悪性腫瘍がとくに注目される.われわれは,発熱を主訴として入院したが,末期まで表在性リンパ節腫脹を欠き,診断確定が困難であった細網肉腫の一例を経験した.
患者は44歳男.家族歴,既往歴に特記事項はない.現病歴として昭和48年12月下旬より,38℃前後の発熱が出没し,昭和49年2月12日入院した.入院時,表在性リンパ節腫脹はなく,肝・脾腫も明らかではなかった.血沈1時間値83mm.末梢血液所見ではHb 11.2g/dlと軽度の貧血を認め,W 6,100(St 18,Seg 34,M 23,L 25)と白血球増多はなかった.血清生化学的検査ではLDH 810単位(I 18%,II 44%,III 28%,IV 10%,V 0%)が著明な所見であった.また,細菌,ウイルスに対する検索,LEテストなども施行したが,いずれも陰性であった.
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