臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IX.血液・造血器疾患
赤血球酵素欠乏症と異常症
三輪 史朗
1
1山口大第3内科
pp.2110-2113
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207611
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赤血球酵素欠乏症と異常症の概念
赤血球酵素欠乏症(erythrocyte enzyme deficiency)とは正常酵素の産生低下の場合もあり,質的に異常な酵素の産生のために正常の機能を営み得ず,結果として欠乏状態と考えられる場合も含まれる.後者の場合は赤血球酵素異常症(erythrocyteenzyme anomaly;erythroenzymopathy)の範疇にも属するわけである.
赤血球酵素異常症は前述の正常な機能を営めない質的に異常な酵素の産生の場合のほかに,質的に異常な酵素であるが,機能的には欠陥がなく,まったく症状を呈しない場合も含まれる.したがって,欠乏症と異常症とは共通部分を有するが,厳密にはお互いに異なった概念である.しかしながら,現在まであまり厳密な区別なしに,症状を呈する場合には欠乏症という語のほうが多く用いられてきた(表1).
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